路地裏バーのからくり書庫(税法)

税法の論点・判例をつまみに,ウィスキーでも飲みながらどうぞ。

予告。

近々、路地裏バーのからくり書庫、労働法書架と民事法書架も開放します。

租税判例百選[第5版]16(租税判例百選[第4版]15)私法上と同一の概念の解釈―匿名組合契約の意義

最高裁昭和36年10月27日判決・最高裁民事判例集15巻9号2357頁)

 

 

〈事案の概要〉

 訴外A社は,事業資金を,投資あるいは出資という言葉を用いて一般大衆から集めていました。後にA社は破産しXらが破産管財人に選任され,その破産手続中に,税務署長Yは,この事業資金の取得にかかる契約に基づきA社が資金提供者に支払った金員は旧所得税法42条3項に規定する匿名組合契約等に基づく利益の分配金に該当するとして,Xらに対して,当該金員に対する源泉所得税及び源泉所得加算税を徴収する旨の決定をしました。この処分に対し,Xらは,A社と資金提供者の契約は匿名組合契約等に該当しないとして,処分取消しを求めて出訴しました。

 

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租税判例百選[第5版]102(租税判例百選[第4版]16)他人の時効取得を認める判決と後発的事由による更正の請求(要旨)

(大阪高裁平成14年7月25日判決・訟務月報49巻5号1617頁)

 

〈事案の概要〉

 訴外Aは,所有していた土地1及び土地2の各3分の1の共有持分権をX1,X2,X3に相続・遺贈させる旨の遺言を公正証書で作成して亡くなりました。Aの死亡後,Xらはこの遺言に基づき登記をして相続税の申告をしました。一方で,訴外B1及びB2が,土地1についてはB1が贈与を受けており,土地2についてはB2が贈与を受けているとして,Xらを相手に訴訟を提起し,その予備的請求として時効取得を主張していました。この別件訴訟において,Bらが土地1及び土地2を時効取得していると判決が出て,確定してしまいましたので,Xらは,Bらは土地1及び土地2を占有していた時から所有権を取得していたのであるから相続財産から除外すべきであるとして更正の請求をしましたが,税務署長Yは,更正すべき理由はないと通知をしました。そこで,Xらは,この処分の取り消しを求めて出訴しました。

 

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租税判例百選[第4版]14 租税法の解釈―レーシングカー事件(要旨)

〈事案の概要〉

競走用自動車の製造販売業を営むXは,FJ1600と呼ばれるいわゆるフォーミュラータイプに属する競走用自動車を製造し移送したところ,税務署長Yはこれは物品税法上の「小型普通乗用四輪自動車」に該当するとして物品税の決定処分及び無申告加算税賦課決定処分をしました。Xは,この処分取消しを求めて出訴しています。

 

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ようやく

 役員給与(アメリカ法)の記事は,これで終わりです。

 なかなか更新できていませんが,地道に更新していこうと思います。

 

 分野としては,税法と民法としていますが,労働法も破産法も扱っていますので,それらについても記事にするかもしれません。

 

役員給与(アメリカ法)補論―実質基準と形式基準

 最後に、法人税法の役員給与の損金算入の可否の問題において「形式基準」と言われる条文と同様に「形式基準」を用いていると言える,内国歳入法典162条(m)の問題点と、内国歳入法典162条(a)(1)の適用範囲に関係する2つの問題点を見ていきましょう。

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租税判例百選[第4版]94 国税通則法65条4項にいう「正当な理由」(要旨)

最高裁平成16年7月20日判決・判例時報1873号123頁)

 

〈事案の概要〉

 訴外A社(同族会社)の代表取締役であったXは,証券会社を介して訴外B社の株式をA社に売却し,その代金の清算日にXは銀行から借り入れをし,無期限及び無利息でA社に貸付け,A社は,同日,証券会社に対して株式の代金及び証券会社への手数料を支払い,Xは銀行からの借入金及び利息を返済しました。結果として,XのA社に対する貸付金が無期限及び無利息で残りました。

 Xの顧問弁護士等の税務担当者は,税務当局は個人から法人への無利息貸付けには所得税を課さないという見解を採っていると解していたため,これについては0円で申告をしていました。しかし,税務署長Yは,所得税法157条を適用し,この貸付けの利息相当分に係る雑所得が発生していると認定して更正処分を行いました。

 この事案では,所得税法157条の適用があるかなど争点がいくつかありますが,租税判例百選にて掲載されている争点は,「Xの顧問弁護士等の税務担当者は,税務当局は個人から法人への無利息貸付けには所得税を課さないという見解を採っていると解していたため,これについては0円で申告をしていた」ということにつき国税通則法65条4項の「正当な理由」に該当するかというものです。

 

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