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路地裏バーのからくり書庫(税法)

税法の論点・判例をつまみに,ウィスキーでも飲みながらどうぞ。

役員給与(アメリカ法)補論―実質基準と形式基準

 最後に、法人税法の役員給与の損金算入の可否の問題において「形式基準」と言われる条文と同様に「形式基準」を用いていると言える,内国歳入法典162条(m)の問題点と、内国歳入法典162条(a)(1)の適用範囲に関係する2つの問題点を見ていきましょう。

 

1 内国歳入法典162(m)の構造及び趣旨

公開会社における役員報酬の金額は、業績とは無関係であり[1]過剰だ[2]と従来から批判されてましたが、近年はこの批判が強くなってきています。また、議会内での議論や論文の中で、証券取引法や税制を利用した、過剰な役員報酬の抑制が議論されてきました。批判や議論の中で、公開会社の過剰な役員報酬の抑制手段として、内国歳入法典162条(m)が1993年に制定されました。公開会社の役員報酬に関して問題とされてきたのは、前述のように、金額の過剰さ及び金額と業績との結びつきの弱さであり、これらを解消するために内国歳入法典162条(m)は設けられたと言われています[3]

内国歳入法典162条(m)は、原則として、公開会社の、対象となる役員に対する、対象となる報酬のうち、一人につき一つの課税年度で100万ドルを超える部分は控除しないと定めています(I.R.C. § 162(m)(1))。これは、金額だけを見て支払金額が過剰か否かを判断するという考え方の表れです[4]

 歩合給(I.R.C. § 162(m)(4)(B))及び業績目標達成に基づく報酬(I.R.C. § 162(m)(4)(C))は、内国歳入法典162条(m)による控除制限の適用除外となっています。これは、支払金額と業績との結びつきを強くするという意図の表れです[5]。なお、業績目標達成に基づく報酬には、ストックオプションが含まれます(Treas. Reg. § 1.162-27(ⅲ)(C))。これは、ストックオプションを付与すると、株価上昇という株主の利益となることが役員の利益にもなり、役員の役務に対するインセンティブにもなると考えられているからです[6]

 以上のように、内国歳入法典162条(m)は、経費算入の判断基準を厳格に法定している。この意味において、内国歳入法典162条(m)は形式基準を定める条文だと言えるでしょう。一方で内国歳入法典162条(a)(1)は、経費算入が認められるには合理的支給額であることが必要である、ということ以外には規定していません。裁判所は、内国歳入法典162条(a)(1)により控除が否認されるか否かは、個々の事情に応じて、すべての事実及び事情を総合考量して判断してきましたたこの意味において、内国歳入法典162条(a)(1)は実質基準を定める条文だと言えます。

 

2 形式的基準の問題点

 内国歳入法典162条(m)は、積極的な評価[7]よりも消極的な評価[8]を多く受けています。以下で紹介するのは、内国歳入法典162条(m)が形式基準を定める条文であることに関係している問題点です。

第1に、内国歳入法典162条(m)の適用対象である「公開会社」の要件は、内国歳入法典及び財務省規則内で厳密に定められています。そのため実質的に同じ立場にあるにもかかわらず適用対象外となる会社と適用対象となる会社が出てきてしまい、不公平が生じると指摘されています[9]

 第2に、内国歳入法典162条(m)は、各会社や役員の個別的事情を無視していると言われています[10]。すなわち、内国歳入法典162条(m)は、原則として対象となる報酬のうち100万ドルを超える部分の経費算入を否認するものなのですが、会社や役員によっては、100万ドルを超える額が内国歳入法典162条(a)(1)の合理的支給額と考えられる場合もあるし、逆に100万ドル以下であるが内国歳入法典162条(a)(1)の合理的支給額と考えられないという場合もあるのです。

 第3に、納税者の行為の経済的有効性に対する税制の干渉は最小限に抑えるべきですが、内国歳入法典162条(m)は最小限の干渉ではないと主張されています[11]

 

3 内国歳入法典162(a)(1)が公開会社にほとんど適用されてこなかった理由

内国歳入法典162条(m)の制定及び施行後も公開会社の役員報酬の金額は上昇し続けていることなどから[12]、過剰な役員報酬の抑制手段としては内国歳入法典162条(m)はあまり有効な手段ではなかった[13]と言われています。そこで、公開会社の過剰な役員報酬の抑制のために、従来よりも積極的に内国歳入法典162条(a)(1)を公開会社に適用すべきだという主張が登場しています[14]

 この主張には、従来内国歳入法典162条(a)(1)が公開会社にほとんど適用されてこなかった[15]理由に説得力はあるのかという問題が付随しています。

 

(1) 取引の公正さ

 内国歳入法典や財務省規則には閉鎖会社の定義に関する定めはなく、判決内でも特に言及されてはきませんでした。しかし給与又はその他の報酬としての支払の経費算入の可否の問題領域において、閉鎖会社とは、取締役と役員にも株主や関係者が就任あるいは兼任しているので所有と経営が実質的に分離していないという特徴を有する会社であるという一致した理解があるようです[16]。所有と経営が実質的に分離していない状況では、取締役と役員の間の取引は不公正であり[17]、実質的に自分の給与を自分で設定できることとなるために配当を給与に偽装することも容易に行いうる[18]と考えられてきました。

 一方で、公開会社では、取締役会と役員は対等に取引をしており、取引は公正だと従来から考えられてきました[19]。また、公開会社の多くは、独立取締役3、4名で構成される報酬委員会を取締役会の中に設置し、報酬に関する決定権を委譲しているということです。このような体制は取引は公正にするものであり、また、公正な取引の中では、不合理に高い報酬を支払うことは人の本質に反すると考えられてきました[20]

 

(2) 会社外部からの制約

公開会社の場合は、株主にとって不利益となる行為をとらないように、株主は取締役会を監視し圧力を加えると考えられます。また株主訴訟が提起されれば、取締役会は世論から批判を受けるかもしれません。このような株主や世論などの会社外部からの圧力は、取締役会へのコントロールとして作用すると考えられてきました[21]

 一方で、閉鎖会社の場合は、株主と取締役会との間で利害が対立しにくいので、取締役会に対する株主の圧力は緩やかなものとなるであろうと考えられています[22]

 

4 役員報酬の金額が過剰となった原因

 内国歳入法典162条(a)(1)が公開会社にはほとんど適用されてこなかった理由は以上のように説明されています。しかし、コーポレートガバナンスの問題の領域において主張されている、役員報酬が過剰になった原因は、このような説明に対する反論となります[23]

 まず、従来CEOと取締役会との取引は公正だと言われてきましたが、実際は不公正であったと言われています。その理由はいくつか指摘されていますが[24]、紙幅の都合上、本記事では一つだけ挙げておきます。取締役に就任すると経済的便宜などを得ることができます。また、CEOは株主総会に提出される取締役選任議案の作成に重大な影響力を及ぼします。したがって、取締役は再選を望む傾向にあり、再選されるためにCEOに有利な報酬契約をしようとするだろう[25]と言われています。

 次に、株主などの外部からの圧力が取締役会をコントロールすると従来は考えられてきましたが、実際上、株主の権限は役員報酬の制約としては不十分であったと言われています[26]。例えば、裁判所は、経営判断の原則により取締役の事業上の判断にあまり干渉しないという態度を採っているので、訴訟による取締役の責任追及は役員報酬の制約としては不十分であると言われています。

 

5 内国歳入法典162(a)(1)による控除制限の理由

 従来公開会社にほとんど内国歳入法典162条(a)(1)が適用されてこなかった理由以外にも、公開会社の過剰な役員報酬の抑制のために公開会社に内国歳入法典162条(a)(1)を従来よりも積極的に適用すべきという主張には、まだ検討すべき問題が残っています。

 問題の1つは、内国歳入法典162条(m)の「100万ドル」と内国歳入法典162条(a)(1)の「合理的支給額」との関係をどう理解するかという問題です。もし内国歳入法典162条(m)は100万ドルを合理的な金額だと明らかにするもの[27]と解されるならば、100万ドル以下の報酬が不合理であると主張することは困難であろう[28]と言われていますあ。一方で、議会は内国歳入法典162条(m)の立法において、本質的に合理的な数字を設けることを意図していなかったという主張もあります[29]

 問題の2つは、内国歳入法典162条(a)(1)は、当該支払の金額が不合理であるから控除を否認する旨を定める規定なのか、それとも当該支払の一部又は全部は実は偽装された配当などであるから経費算入を否認する旨を定める規定なのかという問題です。内国歳入法典162条(a)(1)は偽装された配当などであるから控除を否認する旨を定める規定だと理解したならば、公開会社の過剰な役員報酬の抑制のために内国歳入法典162条(a)(1)を利用することは困難となるでしょう。公開会社の役員報酬としての支払は、役員報酬の支払以外の性質を持つと理解することは困難だからです[30]

 以下では、内国歳入法典162条(a)(1)の適用範囲に関連する2つ目の問題点について検討していきます。

 

(1) 従来の支配的見解―偽装配当などの控除の否認

 内国歳入法典162条(a)(1)の趣旨は、立法史からは明らかにできません。内国歳入法典162条(a)(1)に関する財務省規則は、「名義上の給与(ostensible salary)」は経費に算入できないことに言及しており(Treas. Reg. § 1.162-7(b)(2) and 1.162-8)、これらの定めは配当や贈与や給与又はその他の報酬の支払に偽装されることを懸念して設けられたものと考えられます[31]。裁判所も、内国歳入法典162条(a)(1)は偽装された配当などの経費算入を否認する旨を定める規定であり[32]、金額の合理性は、真に給与又はその他の報酬の支払である支出と偽装された配当などの支払とを区別するために検討するものと理解してきたようです[33]。また、目的基準で検討されている要素は、いずれも支払の一部又は全部は実は偽装された配当などかもしれないから検討するべきと考えられている要素です。

 

(2) 少数説―不合理な金額の控除の否認

 多くの判決では、内国歳入法典162条(a)(1)は偽装された配当などの経費算入を否認する旨を定める規定と理解してきました。しかし一部の判決[34]は、内国歳入法典162条(a)(1)は不合理な金額の控除を否認する旨を定める規定と理解しています。

例えば、Harold Club事件第9巡回区控訴裁判所判決[35]は、偽装された配当などでない限り経費算入を否認することはできないという納税者の主張に対し、そのような解釈は「『合理的』を制定法から外して解釈するものである」[36]として、裁判所は納税者の主張を採用しませんでした。この点について、同判決は、金額が合理的であることを理由に控除を否認できるという主張の根拠を、所得税の計算において経費に算入できるのは必要な事業経費であることに求めています[37]

 内国歳入法典162条(a)(1)は支払の一部又は全部は実は偽装された配当などであるから経費算入を否認する旨を定める規定だという従来の見解と、内国歳入法典162条(a)(1)は支払金額が不合理であるから控除を否認する旨を定める規定だという前掲Harold Club事件第9巡回区控訴裁判所判決など一部の判決の採る見解は、「合理的支給額」ではない部分は「通常かつ必要」な事業経費ではないという理解については共通しています。差異は、金額の合理性の検討と、実は偽装された配当などの支払であるという判断結果のどちらを強調するかに表れています[38]。すなわち、前者を強調すれば金額が合理的ではないことのみを理由として経費算入の否認ができるという見解に結びつき、後者を強調すれば実は偽装された配当などの支払である場合にのみ控除の否認ができるという見解に結びつくのです。

 

(3) Aaron S. J. Zelinskyの見解―課税ベースの保護

 内国歳入法典162条(a)(1)の理解について、Aaron S. J. Zelinskyが興味深い見解を主張しています。

 Aaron S. J. Zelinskyは、内国歳入法典162条(a)(1)の適用において公開会社と閉鎖会社を公平に扱うべきと主張しています。この主張の前提として、従来の内国歳入法典162条(a)(1)の理解は誤っていると指摘します。すなわち、税負担軽減の意図は、給与又はその他の報酬としての支払が過剰か否かの判断の主要な要素ではなく、また通常かつ必要か否かを判断する基準でもないと指摘しています[39]。また、コーポレートガバナンスの問題領域で指摘されている役員報酬が過剰となった原因は、どの公開会社にも見られるとは限らないが明らかに誤りとも言えないとします[40]。さらに、内国歳入法典162条(a)(1)は過剰な役員報酬の支払という経済的に非効率な行為を抑制することによって課税ベースを保護する規定であると理解すべきと主張しています[41]

以上のような前提の下で、Aaron S. J. Zelinskyは、内国歳入法典162条(a)(1)の適用において公開会社と閉鎖会社の取扱いの公平を図るべきと主張しています。より具体的には、公開会社に内国歳入法典162条(a)(1)を適用する場合には、従来閉鎖会社に内国歳入法典162条(a)(1)を適用してきた方法とまったく同じ方法に加えて、役員報酬の金額などが確定されたときにCEOを含む役員らと取締役会との間に公正な関係が実際にあったかを判断するべきであると主張しています[42]。従来閉鎖会社に内国歳入法典162条(a)(1)を適用してきた方法とまったく同じ方法とはどのような方法かは、Aaron S. J. Zelinskyは言及していません。しかし、内国歳入法典162条(a)(1)の目的基準の構成要素に取引の公正さが含まれていること、役務の提供があれば目的基準は満たすと考えるという従来の裁判所の態度から、公開会社に内国歳入法典162条(a)(1)を適用する際には金額基準だけでなく目的基準も検討することをAaron S. J. Zelinskyは想定していると考えられます。

Aaron S. J. Zelinskyの見解は、先ほど紹介した、金額が不合理であることのみを理由として経費算入を否認できるという、一部の判決が採る見解に類似している。Aaron S. J. Zelinskyの見解は、税負担軽減の意図は、給与又はその他の報酬としての支払が過剰か否かの判断の主要な要素ではなく、また通常かつ必要か否かを判断する基準でもないという、従来指摘されてこなかった事柄を論拠としている点で特徴的です。また、公開会社の過剰な役員報酬の抑制のために内国歳入法典162条(a)(1)が適用できるかという問題において、Aaron S. J. Zelinskyの見解は、内国歳入法典162条(a)(1)の適用範囲を含めた議論をする唯一の見解であるという点でも特徴的です。

以上のように、内国歳入法典162条(a)(1)は当該支払の金額が不合理であるから経費算入を否認する旨を定める規定なのか否かで見解の対立が見られますが、いずれの見解にも「合理的支給額」ではない部分は「通常かつ必要」な経費ではないという共通した理解が見られます。

 

 

[1] George A. Villasana, Executive Compensation: An Analysis of Section 162(m), 72 Taxes 481, 482-83 (1994). See also Michael B. Dorff, Softening Pharaoh’s Heart: Harnessing Altruistic Theory and Behavioral Law and Economics to Rein in Executive Salaries, 51 Buff. L. Rev. 811, 825-26 (2003).

 上院の財政委員会の租税小委員会で、Max Baucusは、ある米国企業では企業収益が71%下がった年にCEOの報酬として約1800万ドルが支払われていたり、また他のある米国企業の企業収益が27%下がり同企業はその年に破綻したにもかかわらずCEOの報酬は38%上がっていた、という事実が認められている、と発言しています。 Executive Compensation: Hearing Before the Subcomm. on Taxation of S. Comm. on Finance, 102nd Cong., 1st Sess. (1992) rept. in 92 Tax Notes Today 120-47 (1992), available in LEXIS, Fedtax Library, TNT file (statement of Max Baucus) [hereinafter Hearing].

[2]米国の公開会社の役員報酬は、平均的労働者の給与と比較して過剰である(Graef S. Crystal, In Search of excess: The Overcompensation of American Executives 27, 205 (1991); John A. Byrne, What, Me Overpaid? CEOs Fight Back, Bus. Wk., 61 (May 4, 1992). See also Villasana, id. at 485; Mark A. Sally, The Regulatory Regimes for Controlling Excessive Executive Compensation: Are Both, Either, or Neither Necessary?, 49 U. Miami L. Rev. 795, 798 n.17 (1995))、諸外国の役員報酬と比較して過剰である(Crystal, id. at 204-13. See also Villasana, id. at 482; Sally, id. at 798-99 and n.18)、芸能人やスポーツ選手の報酬と比較して過剰である(Crystal, id. at33-39)、と批判されてきました。

[3] See Sally, id. at 819 n.124; Steven A. Bank, Devaluing Reform: The Derivatives Market and Executive Compensation, 7 DePaul Bus. L. J. 301, 305-07 (1995).

[4]伊藤靖史「米国における役員報酬をめぐる近年の動向―1990年代の役員報酬額の増加と2000年代初頭の不祥事の後で―」同志社法学58巻3号4頁(2006年)6頁。

[5] See Hearing, supra note 1 (statement of David L. Boren, Richard C. Breeden & Carl Levin).

[6]この点について、上院の財政委員会の租税小委員会において、Richard C. Breedenは「現金での給与や賞与の支払とは異なり、ストックオプションは、私が認識している最近の事例を除いて、株主にも利益をもたらさない限り役員は利益を得ないものである。そしてそれは、株主の利益の視点からは重要な差異であり、ストックオプションは、株主の財政上の利益と役員の財政上の利益を調整するのに役立つ」と発言しています。 Hearing, id. (statement of Richard C. Breeden).

[7]内国歳入法典162条(m)は、内国歳入法典280G条のゴールデン・パラシュート(golden parachute payment. 高額退職金)に対する規制や内国歳入法典5881条(a)のグリーン・メール(greenmail. 株式買戻し工作)に対する規制よりも、経営者と株主の協力の複雑さの認識という見地から、より合理的だと評価されています。 James R. Repetti, Accounting and Taxation: The Misuse of Tax Incentives to Align ManagementShareholder Interests, 19 Cardozo L. Rev. 697, 708-10 (1997). See also Edward A. Zelinsky, The Tax Policy Case for Denying Deductibility to Excessive Executive Compensation: Disguised Dividends, Reasonable Compensation, and the Protection of the Corporate Income Tax Base, 58 Tax Notes 1123, 1126 n.19 (1993)). すなわち、内国歳入法典280G条及び5881条(a)は、株主による監視や是認を軽視しているという点で問題があると指摘されていた。しかし、内国歳入法典162条(m)は、株主は会社の役員の役務に対して支払を堂々と望むだろうということを認識しており、この点で、内国歳入法典162条(m)は積極的評価を受けています。

[8]他の消極的な評価としては、インフレーションの効果を考慮していないこと(Ryan Miske, Can't Cap Corporate Greed: Unintended Consequences of Trying to Control Executive Compensation Through the Tax Code, 88 Minn. L. Rev. 1673, 1688 (2004))、内国歳入法典162条(m)には抜け穴が多いこと(Villasana, supra note 2, at 490. See also Mark J. Loewenstein, Reflections on Executive Compensation and a Modest Proposal for (Further) Reform, 50 SMU L. Rev. 201, 218-19 (1996))、証券取引委員会規則と整合していないこと(Inez H. Friedman, The Deductibility of Executive Compensation: Automotive Investment, Pulsar Components, and New Section 162(m), 48 Tax Law. 255 , 269-70 (1994))や、適用除外の中に譲渡制限株式(restricted stock)を含めなかったこと(Loewenstein, id. at 219)などが挙げられます。

[9] Friedman, id. at 267-68. See also Loewenstein, id. at 218.

[10] Miske, supra note 8, at 1688. See also Loewenstein, id. at 218; Nathan Knutt, Executive Compensation Regulation: Corporate America, Heal Thyself+, 47 Ariz. L. Rev. 493, 505 (2005).

[11] Peter Woodlock & Joseph W. Antenucci, Update: Corp. Responses to Executive Compensation Deductibility Limits, 77 Tax Notes 221, 222 (1997).

[12] See Gregg D. Polsky, Controlling Executive Compensation through the Tax Code, 64 Wash& Lee L. Rev. 877, 917-20 (2007).

[13] Maredith R. Conway, Money for Nothing and the Stocks for Free: Taxing Executive Compensation, 17 Cornell J. L. & Pub. Pol’y 383, 410-14 (2008).

[14]従来よりも積極的に内国歳入法典162条(a)(1)を公開会社に適用すべき旨の主張は、Aaron S. J. Zelinskyの主張以外には、Conwayの主張があります。See Id.at 424-27.

[15]公開会社に内国歳入法162条(a)(1)が適用された事例として、例えば、Pfeifer Brewing Co.事件租税裁判所メモランダム判決(Pfeifer Brewing Co. v. Commissioner of Internal Revenue, 11 T.C.M. 586 (1952))、BrownForman Distillers Corp.事件請求裁判所判決(Brown-Forman Distillers Corp. v. United States, 132 F.Supp. 711 (Ct. Cl. 1955))、R. J. Reynolds Tobacco Co.事件第6巡回区控訴裁判所判決(R. J. Reynolds Tobacco Co. v. United States, 260 F.2d 9 (4th Cir. 1958))があります。 See Susan Stabile, Is There a Role for Tax Law in Policing Executive Compensation?, 72 St. John’s L. Rev. 81, 85 n.15 (1998). See alsoHerman Stuetzer, Jr., Reasonable Compensation, 25th N.Y.U. Ann. Inst. Fed. Tax’n 491, 492 (1967).

[16] See John J. Vondran, Updating the McCandless Doctrine: Taxing of Reasonable Compensation Paid by CloselyHeld Corporation, 12 John Marshall J. of Prac. & Proc. 113, 115-16 n.13 (1978).

[17] See Howard P. Walthall, McCandlessImplications for Compensation Planning and Dividend Policy, 6 Cum. L. Rev. 1, 1 n.1 (1975)1; Dan Bertozzi, Jr., Compensation Policy for the Closelyheld Corporation: The Constraint of Reasonableness, 16 Am. Bus. L. J. 157, 161-62 (1978). See also Anne E. Moran, Reasonable Compensation, 390 BNA Tax Mgmt. Portfolio, at A-12 (4th ed. 2009); Edward M. Alvarez, The Deductibility of Reasonable Compensation in the Close Corporation,11 Santa Clara L. Rev. 20, 22-23 (1970).

[18]Crawford C. Halsey & Maurice E. Peloubet, Federal Taxation and Unreasonable Compensation 1-2 (1964). See also Stabile, supra note 15, 185 n.14 and n.15 (1998).

[19] Lucian Bebchuk & Jesse Fried, Pay without Performance-The Unfulfilled Promise of Executive Compensation 15-22 (2004).

[20] Herman Stuetzer, Jr., Reasonable Compensation, 25th N.Y.U. Ann. Inst. Fed. Tax’n 491(1967).

[21] See Charles P. McKenney, The Worth of a Man: A Study of Reasonable Compensation in Close Corporations, 38 S. Cal. L. Rev.269, 270 (1965). See also Vondran, supra note 17, at 115-16; Walthall, supra note 18, at 1 n.1; Bertozzi, Jr., supra note 17, at 161; Moran, supra note 17, atA-13.

[22] See Vondran, id ; McKenney, id.

[23] Edward A. Zelinskyは、税法の観点から、内国歳入法典162条(a)(1)の適用の際には公開会社と閉鎖会社とを区別するという二重の基準(double standard)を批判しています。 See Edward A. Zelinsky, Is Martha Stewart Reasonably. Compensated?, 99 Tax Notes 919, 921-23 (2003). この批判は、従来公開会社に内国歳入法典162条(a)(1)があまり適用されてこなかった理由に強く結びつくものではないので、本記事では紹介しません。

[24]本記事で上げる点以外には、以下のようなものがある。1つは、友情、忠誠心、同僚意識、CEOの権威といった、社会的心理的要素が、取締役会の構成員を、CEOと報酬について積極的に交渉することを妨げるということです。 Bebchuk & Fried, supra note 20, at 31-34. 2つは、欠陥のある報酬契約による費用は、取締役が保有する会社の株式価値の減少や取締役の評判の低下という形で発生するが、これらは実際には非常に小さいものだということです。 Id. at 34-36. 3つは、取締役は、報酬契約について適切に評価するために必要な時間や情報を有しないから、CEOの影響下にある、会社の人事部門や外部の報酬コンサルタントからの情報に依存せざるをえない、ということです。 Id.at 36-39.

[25] Bebchuk & Fried, id. at 25-31.

[26] Id.at 45-52.

本記事で挙げること以外にも、ストックオプション計画への反対や株主提案も、役員報酬の制約としては不十分であったと言われています。

[27] Nathan Knutt, Executive Compensation Regulation: Corporate America, Heal Thyself+, 47 Ariz. L. Rev. 493, 505 (2005); Joy Sabino Mullane, Incidence and Accidents: Regulation of Executive Compensation Through the Tax Code, 13 Lewis & Clark L. Rev. 485, 521 and n.148 (2009).

[28] Stabile, supra note 16, at 96-97.

[29] Sally, supra note 3, at 815-16.

[30] Barbara F. Sikon, The Recharacterization of Unreasonable Compensation: An Equitable Mandate, 51 Clev. St. L. Rev. 301, 308 (2004). See also Polsky, supra note 13, at 883.

[31] See Stabile, supra note 16, at 85 n.15.

[32] See Andrew W. Stumpff, The Reasonable Compensation Rule, 19 Va. Tax Rev. 371, 388 (1999); Sikon, supra note 31, at 311.

[33] See, e.g., Alonda Indus., 71 T.C.M. at 1929.

[34] See, e.g., Patton, 168 F.2d 28, 31-33 (6th Cir. 1948) (Mcallister, J., dissenting); Locke Mach Co. v. Commissioner of Internal Revenue, 168 F.2d 21, 22 (6th Cir. 1948); O.S.C. & Associates, Inc. v. Commissioner of Internal Revenue, 187 F.3d 1116, 1123-25 (9th Cir. 1999) (Wiggins, J., dissenting). See also Note, Deductibility of Compensation Paid to Employees Having No Interest in Business ,49 Col. L. Rev. 409 n.3 (1949).

[35] Harold Club v. Commissioner of Internal Revenue, 340 F.2d 861 (9th Cir. 1965).

[36]Harold Club, 340 F.2d at 866-67.

[37] Id at 867. Patton事件第6巡回区控訴裁判所判決は、納税者とその息子が設立した組合が、組合設立後に雇った非組合員に支払った金員の控除可能性が争われた事例である。多数意見は、納税者は支払金額が合理的支給額であると立証できなかったとして、内国歳入庁長官の主張を認めた。

[38]碓井光明「米国連所得税における必要経費控除の研究(二)―控除可能な経費と控除不能な支出との区別―」法学協会雑誌93巻5号732-736頁(1976年)参照。

[39] Aaron S. J. Zelinsky, Taxing Unreasonable Compensation: § 162(a)(1) and Managerial Power, 119 Yale L.J. 637, 639-42 (2009).

[40] Id.at 641-44.

[41] Id. at 645.

[42] Id. at 646.